第328章

山田婉子は、島宮奈々未の醜態でも拝んでやろうと思っていた。ところが笑いものになるどころか、嫉妬で胸の奥がじりじりと焦げつく。

金持ちで顔もいい夫を捕まえた。それだけでも腹が立つのに――その夫がまた、島宮奈々未をこれでもかというほど甘やかすのだ。

丹羽光世とはこれまで接点がなかった。それでも雑誌やテレビで名前くらいは聞いたことがある。冷酷無慈悲で、決断が速く容赦もしない。そんな噂の男が、目の前では驚くほど柔らかい表情を見せている。

噂と現実、違いすぎる。

山田婉子は見惚れてしまった。

島宮奈々未は感情の温度を落としたまま言う。

「昔の同級生です」

それだけで、丹羽光世にも察しはつ...

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